2014年8月1日金曜日

Her:her/世界でひとつの彼女




惚れてまうやろー!



人工知能をもった話せる「OS」に恋をしてしまう悲しい悲しいラブストーリー

過去の恋愛にとらわれ、前に進むことの出来ない手紙の代筆業の男が、
ある日、ふと手にした新しいOSは、人工知能を持ち会話の出来る画期的なOS
それは自分を全て受け入れてくれる、そんな自分の理想の相手だった

OSとデートをする、そんな滑稽で恐ろしく痛々しい姿を
近未来のロサンゼルスの幻想的で美しい風景の中で描いていく
主人公のセオドアの気持ちがあまりに純粋でときめきに満ちていて、非常に切ない
過去の恋で閉ざされた心はそのOSとのふれあいの中で次第にほどけていく

そんな彼女(AI)との出会いで、彼は自分自身を取り戻していく
新しい人生を踏み出すために彼は妻のもとへと離婚届を書きに行くのだが…
そこで起こった悲劇に、彼は人と人とのふれあいとは何かを知る

彼女との出会いの中で成長し進化をし、そんな自らの恋愛を乗り越えた男
そして、AIである彼女もまた目まぐるしい速度で進化を遂げていく
そんな二人は互いの気持ちをぶつけ合いながら、二人の距離はどんどん深まっていくのだが―

とりあえず、この万能AIであるサマンサが愛くるし過ぎて苦しい
何度となく心の中で「そんなん言われたら、惚れてまうやろー!」と叫んだことか!
主人公であるセオドアと非常に感情移入出来てしまって、
主人公同様に自分も恋に落ちてしまうんじゃないかってレベル

このサマンサの声であるスカーレット・ヨハンソンの少しハスキーな声が妙に生々しくて、
スパイク・ジョーンズが最後の最後で全て声を取り直したのも納得の素晴らしさ!
さらにセオドアを演じるホアキン・フェニックスがまたまた素晴らしい
表情の一つ一つの機微で感情が伝わるその演技力は圧巻としか言いようがない

そして、ふいに訪れるあっと驚く展開
ついに彼女は手の届かぬ場所へ行ってしまった
自分だけのものに思えた彼女は、自分のものではなく彼女自身のものだったのだ
そして、その彼女は自分の想像しないほどに進化し成長していたのだった

コンピューターへの恋というトリッキーな設定にもかかわらず、
描かれているのは、とても普遍的な男女の恋愛のかたち
「愛とはなにか?」という哲学的なテーマをユニークな方法で語り出した名作

スパイク・ジョーンズらしいおしゃれな絵作りとファッションも含めた独特の世界観
そして、最後の最後でしっかり救いの道も提示するあたり、
監督のスパイク・ジョーンズは、どこか変な映画を撮るって肩書きから尽きぬけて、
完全に一皮向けた作品といえる

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