2014年7月31日木曜日

二つ目の窓




ラスト10分の衝撃映像を見逃すな!



奄美大島に暮らす高校生の男女の視点から見つめられる生と死
荒れ狂う台風のように激動の出来事たちが少年少女を大人にする
様々な境遇の様々な人たちとの出会いの中で何かを学び、
そして、「生きること」「死ぬこと」の意味を悟っていく

って事を描きたいんだろうけど、正直どうしたいのかが伝わらなかった…
あえて余白をつくりながら、そこで語ろうとしているのかもしれないけど、
殺人事件に母の男癖の悪さ、ヤギの血抜きに母の死などの衝撃的な出来事が
バラバラで繋がることなく「あとは適当に勘ぐって」と言わんばかりに投げっぱなされた印象

カンヌでも賛否が分かれる原因となったヤギの血抜きシーンも
主人公たちがどのように心情の変化があるのか分かりづらいので、
正直、何のために撮影したのかが伝わりづらかったからだと思う

さらに登場人物の台詞がなんか浮き離れしているというか…
台詞の一つ一つがなーんかクサくてツンとくる言葉ばかり
特に東京での離婚したお父さんとの再会くだりでの親父の台詞の数々は、
正直痛々しさのオンパレードで思わず失笑してしまった

なんというか、この感覚は「ヘルタースケルター」を見ていたときと似ている
画面の背後に嫌でも映りこんで来る監督の自意識が映画全体にほとばしっている
河瀬直美の死生観を無理矢理押し付けられているような気分になり、
もはやどうでもよくなってくる

ただし、主人公の無口な少年を演じた村上虹朗の演技は非常良かった!
目はあどけないんだけど、どこか影と憂いに満ちた表情は、
思春期でゆれる青年の空気感にぴったり!
また、ヒロインの杏子を演じた吉永淳のはつらつとした演技も良かった!

そんな二人が織り成すラスト10分間の衝撃の展開は、見ている者の度肝を抜く衝撃映像!
昨今、児童ポルノ問題が騒がれるのもなんのその、そんな社会の風潮に対して、
見ているこっちが背徳感でハラハラさせられるくらいの脱ぎっぷりを披露!
文字通り身体を張ってがんばった村上虹朗と吉永淳は賞賛ものだと思う!

ただし、正直言ってすごかったのはそれだけ、
奄美大島の大自然は確かに美しいんだけど、なんか撮り方が微妙で伝わりづらく、
なんか素人目から素人が撮っているみたいに感じてしまった

自身の最高傑作と言うのも納得の河瀬直美の思いがとても詰まっている作品
正直、河瀬直美という監督の作家性が好きな人でないとちょっと厳しいかも
ましてや、初見の人にとっては好きになるのはつらいかも

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