2014年6月3日火曜日

Monsterz モンスターズ




なんつーか、もうちょっとうまく出来ただろ...!



生まれながらに人を意のままに操れる男
この世の中は全て自分の思い通りになると思っていた
ただし、あの男を見つけるまでは…

2010年にヒットした韓国映画の「超能力者」をリメイク!
この世の中に生まれた二人の突然変異の壮絶な戦いを
あのJホラーの巨匠、中田秀夫が衝撃的に描く

とりあえずこの作品、なにが衝撃的かというと、
一見、人を意のままに操る男によるサイコスリラーのようにみせかけて、
登場人物たちのシリアスな顔をしながらも一挙手一投足が、
突っ込みどころ満載のまま突っ走っているスラップスティックコメディーだったという衝撃!

なにより警察の「おまえ、わざとやってるだろ?」と言わんばかりの無能っぷりは、
もはや呆れ笑いですら渇いてしまうくらいのものすごさ!

はっきり言って、このレベルの脚本を見て誰も突っ込む事がなかったのが驚きだ
そこに藤原達也・山田孝之の二人をはじめとした俳優陣が迫真の演技を見せ、
さらに中田秀夫のホラー演出が交じり合うと、起こるすべてが面白く見えるという奇跡!
そういったグダグダなお話が続くので、終盤にかけてのシリアスな展開も全く乗ることが出来ないまま終わってしまう

そして、悪役である藤原竜也があまりに小物でスケールがとても小さい
行き当たりばったりに能力を使いまくって勝手に自滅している上に、
やってることがとてもみみっちいので、主人公がいくら「世界を救う」的な事とか言われても、
それすらギャグなんじゃないかとすら思えてきてしまう

物語の途中で脈略もなく唐突に瀕死になる大事故を負いながら、
カットが切り替わるとぴんぴんしている山田孝之はブラックな笑いを誘ってくれるし、
エキストラをいっぱい使った操るシーンにシャマランみたいな飛び降りシーンなど、
見てておっ!と思うところもない訳じゃないんだけど、
その後に、藤原竜也が顔をゆがめて「うぉぉぉぉ」とか言いながら、
やってる事はちいさいっていうコメディーみたいなことをやられて興ざめみたいな…

終盤にかけては突然変異となってしまった男の孤独がテーマになっていく
人を意のままに操れるけれども心は操ることは出来ない
母親ですら拒絶されてしまう能力をもった男が、はじめて自分と同じ突然変異と出会う
ラストで山田孝之に滑稽なくらいに執着していた理由は愛憎の裏返しだったことを理解する

逆に藤原達也を止める男、山田孝之も今まで生きる理由を見出せずにいた
その割に彼は自らの意思に反して驚異的な回復力で生き続けてしまう
突然変異の藤原竜也に出会ったとき、彼は自らの生きている意味を見出すことになる

そんな事を無理矢理勘ぐってやっとひねり出す
上記を描けばけっこう深い物語になりそうなんだけど、実際はとてもライトな語り口
その上、ラストの切れ味も悪く、なんかグダグダになってしまった印象
だって、最後なぜか石原さとみが本をフリマで売ってハッピーエンドってなんだよ!そのオチ!笑

突然変異で強大な力を持ってしまった男の孤独の内面を表現するために
常に漫画の「AKIRA」を持たせるというっていうのも、なんか底が浅いというか…

まあ、はっきり言って全然面白くなかったけど、
とは言え、中途半端に描かれるよりはここまで振り切れちゃえば嫌いにはなれない
映画の特報が一番怖いっていうB級トンデモ作品だと思って観ればそれなりに楽しめるかもしれない

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