2012年11月30日金曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q




碇シンジの罪と罰




冒頭10分間はポカーンとする事間違いない驚きの展開
事態を呑み込んでからは、進み出した物語がこれまでの流れを踏襲しつつ、
全く別の方向へ進みだしいて、話についていくだけで精一杯
真相を読み解くには明らかに脳が限界突破!

「破」で前向きになった碇シンジの素直で真っ直ぐな彼の行動を
完膚なきまでに叩き潰して、絶望の淵にまで追い詰める衝撃の事実
もはやどうする事も出来ないくらいに大きすぎる自らの罪を背負い、
完全なる暗闇の中でもがき苦しむ彼に差し込んだ一筋の光

そして、その一筋の光さえも自らの手によって消し去ってしまうという
もはや救いようのない超絶な欝展開の中で、碇シンジはどうなっていくのか―

進化した映像技術によって描かれる新しいエヴァの世界
特に戦闘シーンの完成度が凄まじすぎて興奮しっぱなし!
アドレナリンが噴出するアクションや作画とその熱を一気に氷点下まで下げる絶望の展開、
そして、今も尚進化をやめないエヴァの世界に呑み込まれて行く!

この作品をもって、完全に「ヱヴァンゲリヲンファン」への別れを告げているにも関らず、
「エヴァンゲリオン」ファンすらも刃を突き立てられる庵野秀明の攻めの姿勢が凄まじい!
まるで自らの清算をするかのように、ひたすら攻めに続ける庵野秀明の世界観が怒涛のごとく押し寄せる!

次第に明らかになる、前作(あえて「破」とは言わずに)から14年後の世界
取り残された観客と碇シンジは困惑しながら変わり果てた世界を眺めていく

この14年という数字とエヴァの呪縛という2つのプロットから、
これでシリーズをひとまず完結させようとしている本気度が伺える。

14年という数字は「まごころを君へ」からの数字と一致し、
そしてエヴァの呪縛とは、旧シリーズからのエヴァのファン、ひいてはアニメの業界を暗喩しているように思える
14年前のニア・サードインパクトとはエヴァンゲリオン現象の事であり、
あの頃の庵野秀明の行動こそが、碇シンジなのだと深読みしている

それにしても、徹底的に絶望へ突き落とす鬱展開っぷりが凄まじい
半ば強制的に乗らされていたエヴァンゲリオンで、自らの願望を叶える為に起した行動は、
結果として、世界の破滅を引き起こしてしまった。
しかも、その自らの願望すら叶えられていないという結末とは、本当に意地が悪い。

そして、それだけに留まらず、絶望の闇の中に差し込んだ一筋の光にすがるように、
夢中で起した行動すらも結果として更なる深い絶望を引き起こす!
ダブルエントリープラグ内で巻き起こるショッキングな展開はまさにトラウマ級!

全ての行動には結果が伴う
例えそれが受け入れがたい事実だったとしても
それを理解しつつ、自らの行動とそれにともなう結果を受け入れる事、それが責任
捉えようによっては、「破」でシンジに感情移入してカタルシスを得た観客に
「お前らの望んだ先がこれだよ!」と思いっきり喧嘩売られているような気分になる

その一方で、「破」で碇ゲンドウが言っていた台詞である、
「目標は他人から与えられるものではない、如何なる犠牲を払ってでも自分の力でかなえるものだ。
シンジ、大人になれ」という台詞が、今回そのまま反映されていて、
シンジが自らではなく、渚カヲルから与えられた目標のために行動した結果がこの結末であり、
綾波を助けたいという純粋な思いの犠牲がこの世界である

また、今作で徹底的に碇シンジ(自分)を貶める姿は、まるで庵野秀明による、
自らの贖罪の物語のようにすら思える
旧シリーズで苛め抜いたアスカが今作では大活躍している事も、
あの頃のエピソードを加味して考えると、どことなく関連付けてしまったり…

そんな日本アニメの歴史に名を残す作品でここまで挑戦的な作品を作るとは!
さすが庵野秀明!さすがGAINAXと言わざるを得ない

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