救いようがない愛の逃避行
あまりに不運過ぎた夫婦の最期の旅行は
何も語らないという寡黙で不器用な刑事による無軌道な逃避行
自分の代わりに銃で撃たれ下半身不随になった同僚
自分のせいで銃に撃たれ殉職してしまった後輩
その罪悪感と自らの運命に絶望し、人生を転がり落ちていく
せめてもの贖罪と妻への愛のために
男は静かに狂気の中へ身を投じていく
その静かな暴走の行き着く果てで
全てを悟った妻の「ありがとう…ごめんね。」という言葉が心に突き刺さる
キタノブルーと表された叙情的な風景と久石譲の壮大な音楽
そこで展開される凄惨な暴力とニヒルな笑いで彩られた北野武の死生観
渇いたタッチで描かれた静と動の対比が見事
青空の下に響く二つの銃声が物悲しくも余韻のように今も心に響き渡る
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