発射!首ロケット!
公開当初、森田芳光の凄まじ過ぎるケレン味がぶちまけられた
その暴走し過ぎた作家性の前に置いていかれた観客は感情の行き場をなくし、
原作者ファンはおろか本人にさえもそっぽを向かれ、【駄作】として名高い作品
今回、改めてしっかりと観てみたんだけど、
確かに批判する人の言いたい事は非常によく分かるし、
そもそも、出来のいい作品とはお世辞にも言えないんだけど、
それでも個人的にはそこまで酷評して、こき下ろす必要はなかったと思う
とは言え、あの中居くんの首ロケットはひど過ぎ!(笑)
ただあれは当時のCG技術のなさがそうさせてしまったんだと思う
今、リアルにあのシーンを撮り直したら、この作品の評価も変わってくると思う
なぜなら、あのシーンは今まで一度も観客に目を合わせなかった中居が、
初めてカメラに目を合わせ、ピースサインとあの表情とともに死んでいくシーン
ミヒャエル・ハネケの「隠された記憶」のあのシーンみたいだったら良かったんだろうけど、
やっぱりあの描写はお粗末過ぎだったし、悪ノリし過ぎ
物語自体も後半から急激に暴走しはじめて、最後は誰一人ついていけてない
個人的には浩美が死ぬまでは緊張感に溢れて良かったんだけど、
そっからはもう完全に置いてけぼりを食らってしまった
そして、世間の評価にとどめを刺したと言ってもラストシーンの子供!
脈略もなければ意味もよく分からないラストシーンは観た者呆然
説明がなさ過ぎだからあまりに難解過ぎて含みを持たせたどころの話ではないし、
伏線が未回収のまま投げっ放して終わってしまう
色々と勘繰れば、あの子供は古川鞠子とピースの子であり、
山崎努の血とピースの血が混ざり合った子供を山崎努に託す事で
血より環境が人格形成には大事だということをあなたが証明させたかったのかも知れない
ただ、それならばいつ誰かに置かせるか不明でご都合的に公園に放置するよりも、
別荘の中で発見させた上でこの子は誰なんだ?と謎を含ませておいて、
後日メール便で真実を知らされるという展開の方が腑に落ちやすかったように思える
また、独特の台詞回しは今まで以上にケレン味たっぷり!
特に浩美の「F**K!」とか「S**T!」とか違和感あり過ぎて笑えてしまう
他にもあまりにクセのある台詞ばかりで全く乗れないまま話が終わった人も多いはず
ただ、なぜ自分はそこまで否定する作品でないかと思う理由は、
この森田芳光の作家性をここまで爆発させた作品はないから!
ある意味で突き抜け過ぎて逆にスゴいって作品だと思う
また後半までのテンポ感や妙な台詞回しが逆に不穏さを醸し出している
作品全体に溢れているいかがわしさというか不快感が画面越しに伝わってくる
ラストシーンの説明不足と中居くんの爆死シーン以外は、
その独自の雰囲気が炸裂しまくっていたように思えた
とは言え、欠点はもう無数に散らばっているくらいなんだけど、
それを補うための暴走した作家性でギリギリ成り立っている映画
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