2014年3月7日金曜日

バトル・ロワイヤル




今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます



中学生同士が殺し合うというセンセーショナルな内容に、
当時は上映禁止騒動など、社会現象にもなった深作欣二による衝撃作
公開当時は中学生だった自分はR15をなんとかかいくぐって観に行ったのを覚えている

原作で内容を知っていた事もあり、当時は言うほどの衝撃ではなかったなという思い出
制服がめちゃくちゃ可愛かったのと柴咲コウの死に際が妙に頭に残ったのを覚えている
そんな「バトル・ロワイヤル」を久々に見返したんだけど、

うん、やっぱりコレすげえわ!
ってか、めちゃくちゃ面白いわ!

とりあえず、画面全体が狂気と得体の知れないエネルギーで満ち溢れている
子連れ狼ばりに血飛沫を噴水の如く撒き散らしながら、
多種多様なやられ方で鮮やかなまでに死んでいく生徒たちの姿
そして、生に剥き出しな少年少女の姿に思わず絶句する

バスの窓から自衛隊の車がどんどん増えていき、気付くと見知らぬ教室
そこにやってきたのは昔いじめていた冴えない担任の教師
困惑している中に一言...

「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」

このシーンの衝撃が本当に凄まじい!
そして、その担任を演じた北野武の淡々とした狂気っぷりもまたすごい
ラストシーン間近のあまりに狂った絵画を披露してから死ぬまでは凄まじい

そして、約6000人もの中からオーディションで選ばれた46人の子役たち
藤原竜也、柴咲コウ、栗山千明、高岡蒼佑、塚本高史、山本太郎、安藤政信など、
今も俳優として活躍している子役たちの迫真の演技もまたこの映画に華を添える
あの頃強く印象に残っていた柴咲コウの死に際はやっぱりスゴかった!
鎌を持ちながら殺していく姿は思春期に自分の心に残ったのも納得!

この作品はセンセーショナルな話題だけが先行しているけれども、
よく観るとこの映画は柴咲コウの鎌の如く、鋭く現代を抉っている

「バトル・ロワイヤル」は深作 欣二の中学時代の記憶を反映している
深作 欣二の中学時代とは戦時中、その頃はこの映画同様、子供に銃を持たせ殺し合う事を教えていたのだった

そして、BR法が成立した背景
それは自信をなくした大人たちが子供を恐れたから
「子供は何をしでかすか分からない」そんな得体の知れないものへの恐怖から、
権力を持った大人たちはこんな馬鹿げた法案を成立させてしまう

得体の知れない恐怖を権力によって抑圧するという事、
それは人類の負の歴史の縮図であり、普遍的な事なのである
この映画の公開当時に政治家たちの上映禁止を働きかけた事は皮肉である
「青少年に有害」など何らかの理由にかこつけて規制していく状況は正に同じである
政治家はこの映画に何を恐れるのか?この映画の本質を理解していないからこそ、
みなこぞって規制に走ったのだった

また、このバトル・ロワイヤルとは勝ち残りレースに無理矢理にのせられる事
その中で少年少女は多種多様の選択をしていく
生き伸びるためゲームに乗る者、ドロップアウトする者、権力に対抗する者など
それは資本主義社会に放り込まれている自分たちの姿を反映している

団結を呼びかける理想論もゲームに乗っかった者にあえなく奪われる
助け合いの理想論も互いの疑心暗鬼から些細な事で崩れ去る
藤原竜也の叫ぶ「どうしてみんな簡単に殺し合うんだよ」という台詞
これは、資本主義というゲームに簡単にのっかってしまった僕らへの皮肉である

そんな風に大人になって見えてくる部分が大きく変わった作品だった
正直、ゼロ年代の邦画の中でコレを越える衝撃作は未だに作られていないと思う
日本を代表する衝撃作であり、凄まじい傑作だ

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