2013年6月29日土曜日

3 Idiots:きっと、うまくいく




世界よ、これがボリウッドだ




ひとは自分の人生を変えるような出会いを運命と呼ぶ
ひとはそんな運命を感じさせる数々の出来事を奇跡と呼ぶ

インド一の工科大学ICEを舞台に3人の「idiot」たちの過ごした忘れられない学生生活
まるでインドの高度成長のように激動の日々を過ごした3人が巻き起こす大騒動
そこで繋がった友情はいつになっても変わらない

高度成長真っ只中のインドにおける誰も目を向けることなかった闇
急激な経済成長を続ける傍ら、人口の3割が一日僅か1ドルで暮らすという矛盾を
主人公の3人の生まれを上流・中流・貧困に分ける事でわかりやすく描き出す

貧乏ながら学費を稼ぎ、息子の未来に希望を託す家族
そして、その期待にこたえんとする子供たちのプレッシャー
本当は目の前いっぱいに広がっているはずの可能性は、
いつしかその重圧で見えなくなり、そしてそれに耐え切れなかった者は脱落していく

50万人中1万人しか入れないインド工科大学
その競争に勝ち得たのに、彼らに待ち受けるのは大学内での更なる競争だった
やがて大学というのは学問を学び研究する場ではなくなり、
その競争に勝つための教育でしかなくなってしまっていた
学校一の大馬鹿者と呼ばれていた、たった一人の天才が現れるまでは…

僕たちは何のために学び、何のために生きるのか?
自由奔放なランチョーとそれに巻き込まれるファルハーン、ラージュー
学校の体裁やメンツを重視し学生を縛り付け、過度の勝利至上主義を植えつける学長との抗争の中で、
学生やしいては学長でさえも、自らのアイデンティティーを見つめなおしていく
ランチョーの投げかける言葉一つ一つが、学生生活を無駄に過ごした自分の胸に突き刺さる!

そんな天才、ランチョーは卒業と同時に何も言わずに消えてしまった…
ある小さな小さな復讐の場をきっかけに、消えたランチョーを追いかける事となったかつての仲間たち、
そこで見える彼の本当の姿とは!?果たして彼は一体何者だったのか!?
奇跡の日々を思い起こしながら古き友を巡っていくと、そこには誰も知らなかった真実が待ち受けていた

歌って!踊って!泣いて!笑って!
エンターテイメント要素の全てをぶちこんだ、これこそまさにボリウッド!
インドの社会問題まで切り込みつつ、それでもやっぱり笑顔で笑い飛ばす!
180分近い長尺をもろともせず、見終えた先に待つのは、思いっきり突き抜けた爽快感!
映画の良さってヤツをもう一度、身をもって教えてくれるような大傑作!

何より、インドにおける貧富の差や競争社会といった闇の部分を描きながらも、
湿っぽくならずに豪快に笑い飛ばさせてくれるセンスの良さが光る!
180分近い長丁場な上に途中に入る休憩時間、差し込まれるミュージカル展開、
そんなボリウッド特有のノイズが、ハリウッド映画に見慣れている者にとっては逆に新鮮な映画体験!

このランチョーってのがいいヤツなんだけど、彼の秘密を知るとさらに泣けてくる!
あと、個人的にはラージューの泣き顔がツボ過ぎて、アイツの泣き顔だけで泣けてくる!
正直、学生時代の自分の状況と今の自分の状況が重なりすぎて、
普通の人以上にこの映画のメッセージが突き刺さってしまったかも!

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