2013年10月29日火曜日

Carrie:キャリー




ブライアン・デ・パルマを薄めたら普通になりました




ある日突然、否応なしに訪れる性の芽生え・スクールカースト・狂信的な信仰
そんな思春期の女子高生の抱える恐怖をブライアン・デ・パルマがケレン味たっぷりに描いてから早40年近く、
スティーブン・キング原作のホラー映画の傑作「キャリー」が現代版にリニューアル!

やはり、見所としてはあの血がドバーからのキャリーがドカーン!っていうあのシーンをどう表現するのか?って所と
そんなキャリーを我らがヒットガールことクロエ・グレース・モレッツがやるって所!
やっぱ、これは観ておくしかないだろ!って事で思いあまって試写会にまで行ってしまった...

で、結論としては…、
デ・パルマ版キャリーをうすーく引き伸ばして食べやすくした感じ
女性監督ってだけあって、女性目線が入っている事で個々のキャラクターへの優しさと
物語がとても分かりやすく整理されており、どうしてこのキャラはこうなったのかという導線がしっかり敷かれていた
よく言えば丁寧な作りなのかもしれないけど、正直に言ってしまえば、余白のない映画ってのは少々退屈に感じてしまった

やはり、デ・パルマ版のような個性が爆発している訳でもなければ、真新しいショッキング描写もなかったので、
結局のところ、よくある普通のホラー映画になってしまったような気がする
やはり、あの作品がカルト化したのもあの印象的過ぎる演出があってこそだったのだなと実感する

ただし、良かったところも色々とあって、
例えば、いじめの内容がスマホで撮影してそれをYoutubeにUpしたり、プロムパーティーでそのYoutube流したり、
いじめ描写が現代っぽくアレンジされており、あの頃よりもさらに悲惨な状況を描いていて良かった
さらにクリスの自らの親も巻き込んだ嫌なヤツっぷりとなぜキャリーへ復讐するのかといった流れが分かりやすかった

ただ、やっぱり個人的に演出に物足りなかったシーンも多く、
まず、母親がけっこうまともな母親だったのがちょっと微妙だった、そもそも出産シーンとか必要だったのかな?
やっぱり、母親が正常なのか異常なのか曖昧だったんだけど、最後はやっぱりアレだったっていう救いのなさが良かったのに、
今作では、思っていた以上に母親がまともだったりするので、キャリーが殺してしまう下りに説得力に欠けてしまった
さらに序盤の説教部屋にあるキリストの像を複線に使った死に様が見事だったデ・パルマ版に比べて、
あまりパッとしない死に際だったのもがっかりだったかな

そして、何と言ってもプロム・パーティーが物足りなかった
「キャリー」の中でも一番好きなクルクル回るチークダンスシーンと
投票から不正操作から血の入ったバケツまでのワンカットのシーンぐらいはオマージュして欲しかったり
どちらのシーンもさらっと流れてしまうのが残念

そして、最後にキレたキャリーのあの表情!
我らがクロエ・グレース・モレッツちゃんは、冴えない女子からドレスを着て乙女になる姿は最高だったんだけど、
覚醒した後のぶちキレ顔に狂気が伝わってこなかったので、あまり"イっちゃってる感"が伝わらず、
アカデミーにノミネートされた好演をした本家のキャリーには及んでなかったのが残念!

とまあ、原作厨の自分だからこう物足りなく感じてしまったのかもしれない
まあ、ちょっとしたホラー映画として見るならば十分な出来栄えだったとは思うし、
確かにつまらない訳じゃないし、最後まで退屈せずに見る事は出来た
だけども、あまりに普通過ぎて記録にも記憶にも残らない作品かもしれない

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