2013年10月24日木曜日

No habrá paz para los malvados:悪人に平穏なし




こんな、警官は、いやだ



もはやストレートってくらいラムが濃過ぎるラム・コークを一気に飲み干して、
マドリードの夜の街に、髭・ロンゲ・オヤジという超ど真ん中な極悪刑事が千鳥足で歩き出す

ふと迷い込んだ、閉店後のナイトクラブ
彼はもう一杯だけラム・コークを飲み干すだけのはずだったー
そのまま転がり落ちるように行き着く果ては、まるで「タクシードライバー」のような結末

泥酔状態の中で巻き起こしてしまった一つの事件
その事件をもみ消そうと奔走する悪徳刑事だったが、
次第に、さらなる大きな事件に足を突っ込んでいく―

この主人公の極悪っぷりがあまりにケチくさくてダサいんだけれども、
従来の警察組織ではこの事件を未然に防ぐ事が出来なかった巨悪な事件を
この極悪刑事はたった一人でこの事件を防いでしまった

2004年のマドリード同時爆破テロを防げなかったスペイン当局への皮肉を織り交ぜつつ、どんよりとした結末ながら、どこか清々しくもある何とも言えない後味が小気味良い

とりあえず、主役の悪徳刑事の渋過ぎる顔が素晴らしい!
いい具合にアルコールに呑まれているやつれた表情が絶妙!
台詞も心象を吐露する事もなくひたすらムスッとしているだけなので、
一体何を考えているか分からないんだけれども、その表情をほんの少し変えるだけで、
内面を語っているかのような説得力がすごい

まるで「フレンチ・コネクション」のように、最後まで余計な描写は一切ない
最低限の情報しかないので、その余白は観客一人一人が埋めていく
このシンプルさ、そして潔さは非常に好感が持てる

この映画全体の漂うヒリヒリとした空気感は、2012年に作られたとは思えない、
まるで70年代のハードボイルド映画の世界に迷い込んでいるかのよう
気付けば、全体的に派手さを抑えたド渋過ぎる世界観に引き込まれていく!
特に序盤とラストで対象的に描かれる人差し指に引っかけた銃のカットの格好良さ!

アクションも少なめだし、主役の出で立ちからも分かるように派手さは皆無で地味
そして何より、説明がほとんどないまま進んでいくシンプルな物語
ここが賛否の沸かれるポイントであると思うけど、個人的には嫌いじゃない

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