2013年10月1日火曜日

凶悪




よし、ぶっこんじまおう!




これが事実に基づいたお話だっていうんだから恐ろしい
そして、不謹慎なのは百も承知で言わせてもらえば…だからこそ面白い
少し道を外したら自分も巻き込まれてしまうような、そんな現実と地続きにある恐怖
そう、【ほんとうにあった怖い話】っていうのは、こういう事を言うのだ

言うならば【真面目な冷たい熱帯魚】
同じ題材でここまで違った作品に仕上がったのはひとえに作家性の違い
けれどもどちらの作品も人々の記憶を抉るモンスターを生み出した

映画のポスターから既に強烈過ぎる個性を放ち続けるリリー・フランキーとピエール瀧
名台詞「ぶっこんじまおう」をひっ下げて、その凄まじい存在感を放ち続ける
「冷たい熱帯魚」のでんでんと同様に、日本映画界に新たなモンスターがここに誕生する!

それと忘れちゃ行けないのは家族にすら見捨てらる電気屋のおやじを演じるジジ・ぶぅ!
この人の演技があまりに自然すぎて、酒を呑ますリンチシーンの不快感が半端ない!
もうね、みずぼらしさと哀愁の漂いっぷりが尋常じゃないんだよね!
しかも、殺しを依頼する妻に白川和子を持っていく配役もまたブラック!

全体的に派手さはないけど、それぞれの演技と静かな演出が光る作品
こういうところからも、なんとなくこの監督って真面目なんだろうなって感じる映画
だからこそ、所々に差し込まれるブラックジョークが効いてたりするんだと思う

ウィークエンド・シャッフルで宇多丸が言ってたけど、「だって実話ですから―」っていうのを言い訳に、
自主規制だらけのぬるま湯邦画産業に是非とも実録犯罪モノとして、
是非とも「凶悪」や「冷たい熱帯魚」のような作品を「よし、ぶっこんじまおう!」

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