一から十まで、ひたすらハイテンション!
これは否応なしに期待せざるを得なかったんだけど、
結論から言えば、あまり食い合わせは良くなかった…
中島哲也独特のポップさは映画全体の狂気を増長していていいんだけども、
中島哲也特有の「軽さ」がこの作品には合わなかった気がする
オープニングが何故かハードボイルド調だったり、途中にアニメが差し込まれたり、
なんかわざわざアバンギャルドにしなくてもいいのに...といった印象
わざとらしいくらいにキャラ付けされた登場人物が、
一から十までハイテンションで過剰な演技をひたすらしまくるただし、それはどこか無理矢理に過激さを意識しているような気がして、
本当の狂気って部分に触れられなかったように思えてしまった
悪く言ってしまうと、三池崇史や園子音を真似て失敗してる感じ
個人的にはもっとドロドロとしたエグさを見たかったかな
「告白」と同じような作り方を期待していただけに、
もっと抑えて演出してくれた方が好きになれた気がする
ぶち壊す事でしか表現する事が出来ず、そして自らの欲求を満たせない親子の姿
掴みたいと思っても、結局それを壊してしまう事でしか実感出来ず、
そして気付いた時には手元には壊れてなくしてしまう
そんな満たされる事のない渇きを永遠に追い求め続け、
果てのない欲求をひたすら求める姿は正に狂気
その狂気をどう表現するか?って部分で好き嫌いははっきり分かれると思う
ただ、この映画のキャッチコピーである「劇薬エンターテイメント」
このコピーはまさしく言い得て妙なのかも!
まさに一種のドラッグムービーとして考えるととても合点がいく
グロさとエグさとナンセンスさが飛び散った世界の中で、
ひたすらに暴走しまくりながらぶっとんでいく登場人物
ぶった切るようにテンポ良くポンポン進んで行く物語
これはまさにトリップしているような感覚
そして、物語も加奈子という劇薬を失った人々が加奈子を渇望し壊れていく
加奈子という人物に惹かれていくが、その加奈子は壊れていく姿にしか興味がない
みんなその事は分かっていながら、どうしようもなく惹かれていく
そういう解釈にするととても興味深い作品なのかもしれない
ただ個人的に原作好きとしては、違うアプローチにして欲しかったのが本音
それでも問題作・衝撃作として一度見といて損はないと思うし、
しっかり賛否両論を巻き起こす姿勢はすばらしいと思う
この作品の登場人物はみんな狂っているんだけども、
本当に心の奥底から狂っているなと思うのがこの映画の宣伝企画部門の人々
この映画を学生に推奨してどうなると思っているのだろうか―?
はっきり言って心底理解出来ない宣伝だったと思った
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