2013年3月28日木曜日

Bronson:ブロンソン ※日本劇場未公開




タチムカウ -狂い咲く人間の証明-




イギリス史上、最もエキセントリックな囚人
マイケル・ピーターソンという男の半生を
まるでキューブリック映画を見ているような徹底されたシンメトリックな世界観で描く
そのこだわり尽くされた画作りとテーマから「21世紀の時計仕掛けのオレンジ」と称される

ただ有名になりたかっただけの男
彼が自らを表現する方法は暴力でしかなかった
訳もなく、ただひたすら何かに抗い続けた人生は、
結果として、イギリス史上最凶の囚人としてその名を歴史に刻む事となる

ちんけな盗みだけで入った刑務所生活は気付けば34年、そのうち独房生活は30年
皮肉にも、彼は自らの拳一つで夢を掴み取ってしまった
その半生は、まるでこの映画のように人生を賭けた喜劇のようだ

勝つか負けるかなんて、そんなものは彼にとってどうでも良い
彼の暴力の矛先は無限であり、目の前に立つもの全てが対象だ!
何度ボコボコにされ血まみれになろうとも、彼は反抗する事を辞めない
Do Or Dieを地でいく男の血まみれの半生はあまりに鮮烈で濃密だ!

そんな暴力のカリスマを演じたのはトム・ハーディー
これが出世作になったのも納得のイカれた演技がほとばしる!
時に可笑しく、時に可愛い、ブロンソンの姿を魅力一杯に演じ切る!

こんなにも最悪の物語なのに、飛び込んでくる映像はひたすらスタイリッシュ!
ニコラス・ウィンディング・レフンによる計算されつくした左右対象の世界の中で、
己の闘争本能のままに生き続けるブロンソンが獣のように暴れ狂う!!
観客の思考すらもねじ伏せてしまう脅威のキャラクターであるこの男の魅力は、
「21世紀の時計仕掛けのオレンジ」という評価も納得させてしまうくらいの腕っぷしの強さ!

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