2013年3月9日土曜日

Zero Dark Thirty:ゼロ・ダーク・サーティー




そして…、何が残ったのか…




あのウサマ・ビンラディンを探し出したのは、一人のCIAの女性職員だった
あの忌まわしき9.11から10年もの間、彼女にここまでさせたのは、
彼女の使命か執念か復讐か、はたまた何なのか―

仲間を失い、信頼を失い、そして自分の感情すらも失い、
身も心もズタズタに引き裂かれながら、それでもアルカイダを追い続ける
そして、時間がゼロ・ダーク・サーティを告げた時、
その先には何が待ち受けていたのだろうか?

自らの感情を押し殺し、冷血な女性と化した彼女
まるで幽霊を捕まえるようなもどかしさの中で、
もはや狂気とも言える執念で見つけ出したオサマ・ビンラディン
悲願が達成されたその後に、彼女が見せたあの表情は一体何を物語っているのか
頬に伝う一筋の涙は一体何を意味しているのだろうか

自爆すらも厭わない見えない敵を捕まえる
最期の最期まで気が抜けないスリリングさと緊張感が映画全体を支配する
全てが終わったその後は、本当はハッピーエンドであってもいいはずなのに、
あまりに刹那で空虚なエンディングは、9.11以降のアメリカを象徴しているとも言える

「ハートロッカー」同様に、キャスリン・ビグローらしい問いかけが、
エンドロールの静かな音楽とともに深く突き刺さる

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