2013年3月5日火曜日

Life Of Pi:ライフ・オブ・パイ/虎と漂流した227日




3Dによって描かれたあまりに神秘的な通過儀礼




この世の中というものは複雑であまりにも難解であり、
この世の中というものは過酷であまりに残酷である
だからこそ、人は神という不確かな存在にその辛さを投影し、
神話や物語を語る事で世の中の一部を理解する

世界を語る様々な宗教に対して、純粋な信仰と好奇心で向きあった少年には、
この神話や物語の意味する真理を理解する事は出来なかった
ある壮絶な出来事に巻き込まれるまでは―

嵐に巻き込まれ沈没船からやっとの思いで脱出した少年
その少年に待ち受けていたのは、救命ボートで大海原を彷徨い続けた227日間
それはトラと共に過ごした生死の狭間を彷徨う壮絶な体験だった

救命ボート内での生存競争、食人島という島、雄大で残酷な大自然
すべてが人の想像を凌駕した体験談

極限状態で彼が体験した、この世のものとは思えない神秘的な体験を3Dという最新技術を駆使して描き切る
3Dによる奥行が広大な世界観と息を呑むような光景をさながらその場にいるかのような気分にさせる
思わず涙を流したくなるくらいに美しい映像の連続に思わず圧倒される!

最期の最期でパイの話したもう一つの物語を聞いた時、
初めてこの荒唐無稽な物語が何を意味していたのかを知る
どうして我々は神と言う存在を信じ、そしてどうして物語というものを語るのか

最期に森へ帰って行く彼の姿を眺めた時、
彼は涙を流しながら、自分自身がもう子供ではない事を悟ったのだ
そして、観客も同様に悟る事となるのだ、
この映画の宣伝文句に騙されるな!と

それにしても、何度も見ても明らかなミスリード過ぎるこのキャッチコピーは酷い
ファミリー向けでも狙ったのだろうか?映画を観てたら、こんなコピーをつけるとは思えない
もう少し物語と真摯に向き合った宣伝をしていれば、もっと売れる作品になっただろうに
それが残念で仕方がない

0 件のコメント:

コメントを投稿