2013年7月9日火曜日

Quartet:カルテット!人生のオペラハウス




まよわず行けよ、行けばわかるさ




誰にでもやってくる老い
そして、その先に待ち受ける死
そんな避けようのない運命の中で人はどう生きるのか?

音楽家たちがその余生を送る「ビーチャム・ハウス」
その募金集めのためのヴェルディの誕生日に行われるガラ・コンサートを巡って、
そこに住むかつての名オペラ歌手たちの人生が交差する

人生に新たな一歩を踏み出す事は難しい
新たな物事への挑戦や忘れられない過去への精算は、
「どうせ年だから…」と言い訳にして後回しにして逃げてしまうもの
その一歩を踏み出す勇気こそが美しいと言うのに

「ビーチャム・ハウス」にやってきた往年の名オペラ歌手のレジー
かつて英国史上最高のカルテットと言われた4人の復活を願いながらも、
過去の栄光と自らの自責の念に囚われて、その一歩を踏み出す事が出来ない

痴呆が進行し物事を覚えていられなくなってしまう不安にかられながらも、陽気に生きるシシー
病に体が蝕まれ余命いくばくでも自分を忘れずに周囲に愛されるウィルフ
そして、彼女の我侭さによる不倫から9時間だけ夫婦だったレジー

彼らと共に勇気をもって一歩を踏み出す姿
そして踏み出した先に現れるステージの清清しさが胸を打つ
この元夫婦の過去の落とし前はどうつけるのかー?

名優ダスティ・ホフマンの75歳にして初の監督作品
この作品のテーマの根幹には、監督と言う彼の挑戦があるのかもしれない
ただし作品自体はそんな事を微塵も感じさせず、微笑ましく心温まる王道のコメディに仕上がっている

余生という捉えようによっては暗く閉鎖的になりがちなこのテーマを明るくチャーミングに描く
余計なプライドに邪魔されず、自分のしたいことをする事の素晴らしさを改めて知ることが出来る

なんていうか、文句言う事もない、「普通にいい映画」なんだけどさ
汚れきった自分には、この作品がまぶしすぎるんだよな!泣

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