2012年1月18日水曜日

The Pawnbroker:質屋




なぜ彼は世界を全否定したのか―?




全てを奪い取られて
生々しいNYの街並を
彷徨い続ける幽霊のような老人

拭い去れない忌まわしい過去は
断片的にやってきては彼を苦しめる
神すらも信じる事の出来ない苦悩を前に
誰もが無力さを痛感する

それでも、救いは本当は近くにあったのに
皮肉にもそれはまるで聖書のような悲劇的な結末へ
悲しき男の泣き顔が更に無力を感じさせる

消える事のない傷を抱えて、人とのかかわりに恐怖している主人公
そこへ様々な人々との出会いの中で、彼の心がしだいに溶け出していく
そして、衝撃のラストでやっと彼は人を信じるという気持ちを思い出す
その主人公の姿には静かな感動がやってくる

なのに、彼の直面する現実は相変わらず闇結末が用意されている。
ラストでふらふらと雑踏を歩く彼の姿を見て、その背中は何を物語っていたのだろうかー?

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