2012年1月2日月曜日

The White Ribbon:白いリボン




見えないけど、確かにそこにある不穏な何か




ある落馬事故をきっかけに、
ある静かで穏やかなはずだった村で起こる奇妙な事件
そして、やがて明るみになっていくその村の真実

まるで一つ一つが一枚のポートレートのように美しい風景にも関わらず、
どこか不穏な空気を漂わせるのは、その町に蠢く悪意が滲み出ているから
そして、それをいち早く感じとるのは子供達

そんなどす黒い疑惑と言う名の霧が街全体を覆っていくのを感じながら、
常に無垢であれと抑圧された教育を受ける子供たち
嫉妬や妬みにまみれた汚い大人たちの姿を彼らは知っているのに、
そんな大人から白いリボンで純真さを強制される

そんな彼らはみな正直であり純朴だからこそ、
大人達の本心をただ具現化しただけに過ぎない
そして、本音と建前という不条理さを知りながら、彼らもまた大人になっていく

誰しもの心の奥底にありながら、普段は隠している感情
それは人と人との関係の中で、普段は決して表面化するものではないが、
あるきっかけに決壊すると一気に全体へ広がっていく
19世紀初頭の階級社会、宗教そしてその先に待ち構える歴史をふまえて観ると
余計に不穏な空気を感じ取れるかも知れない

見えない部分にこそ答えのある
ミヒャエル・ハネケらしく、鋭くもいやらしく、そして素晴らしい作品

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