2012年12月25日火曜日

先生を流産させる会




無言で進行していく物語




なんだろう、この作品から漂う嫌悪感は?
観客に挑発的に投げられる監督からのメッセージは
この刺激的なタイトルそのままに、作品全体が悪意に満ちている

性が芽生えだした女子中学生の青春という名の狂気
それは、思春期の訪れと共に女として変化して行く自分を受け入れられない苦悩なのか、
それとも、親からの愛を享受出来ない不平等さなのか、
もしくは、反抗期における無知な故の純粋に邪悪な衝動なのか

あの忌み嫌っている大人に強制的になっていく事への反動が
無邪気であるが故の恐ろしい悪意となって暴走して行く―

実際に起きた事件から着想を得て、
女子校に通う女子中学生たちの狂気のような暴走を
当事者の内面を描く事なく、ただ起きた事だけを淡々描く自主制作映画

観終わってもその気持ち悪さがとれないのは、
作品の中で首謀者である女子中学生が成長したり反省したりする描写が全くないからで、
この作品においてカタルシスなど存在しないまま、物語を終えてしまうからである
これは監督がこちらの都合でカタルシスを得てはいけないという考えからで、
この作品が悪意に満ちた問題提起である事を示している

彼女たちの内面や事件の背景は一切描く事なく、起こる惨劇を淡々と写して行く
そこには彼女たちの取り巻く大人たちの情けなさが浮き彫りになっていく
まるで「Elephant」のように、無言のメッセージが観客の胸に語りかける
物語で描かれない余白の部分はこの作品を観た一人一人が埋めて行く

それこそがこの監督の伝えたかった事であり、とても真面目に作られた映画なのである

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