2013年4月29日月曜日

Cosmopolis:コズモポリス




変態老人のボヤキ




ただただ、車の中だけで繰り広げられるひたすら抽象的な会話劇
回りくどくてまどろっこしくい、その上にどこか高飛車なのは、
まるで凶暴で腕っ節の強い村上春樹のよう!
比喩と下ネタとブラックジョークだらけの70歳の変態老人クローネンバーグ節が全開!

言ってしまえば、70歳の変態老人にひたすらクダを巻かれているような映画
ひたすら毒々しいメタファーを随所にちりばめながら物語は進行していく
その鋭すぎるブラックジョークはさすがクローネンバーグといったところ!
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日本で言うところのネオニートのような存在
ウォール街に住む若い世界的な投資家がたった一日にして人生のドン底まで転落していくまでの物語

それを普通の監督ならば、そういう転落劇を波乱万丈にかつ積極臭く描くはずだが、
この作品はじめから終わりまでリムジンの中の会話だけで展開していく
しかも、その会話自体は物語と直接的には繋がりがない

しかしながら、ふとリムジンの外を眺めると、
そこには激動の世界がものすごいスピードで駆け抜けていく様が描かれる
リムジンの中と外を対比的に描きながら、そのリムジンの中に主人公は、
外のことには全く無関心である様はまさに投資家の姿をそのものである
リムジンの外で何が起きても自分には関係ない、あくまでリムジンの中だけで完結する

そして、そんな外の状況に目を向けなかった彼の行く末はどうなっていくのか?
車の外に出なくてはいけなくなった無防備な彼が行き着く先とは何なのか?
資本主義経済をひねくれまくった視点から痛烈に批判している(はず?)作品
特に最後に対峙する主人公との対極にある男との会話劇はとても印象深い

そんな無関心で無表情な若い投資家を演じるのはロバート・パティンソン
トワイライトシリーズ同様に血の通ってない青年ながら、SEXを惜しげもなく披露して、
アイドルから俳優へ一歩づつステップアップしていっていると思う

まあ物語としては正直微妙ではあるけれども、鋭い作家性を見せ付けられる一本
そのアクの強さにのれるかのれないかが、この映画を楽しめるかどうかを握っている

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