2013年4月8日月曜日

Flight:フライト




こんな パイロットは いやだ




睡眠不足にアルコール、目を覚ますための覚せい剤…
そんなあまりに常軌を逸したパイロット
ある日の最低最悪なフライトで彼は一躍英雄となった

しょっぱなから「アウトー!」な主人公にの身に押し寄せる突然のハプニング
その緊迫感とフライトルームでのやりとり、そして主人公のとった大胆不敵な行動、
この墜落描写の迫力と緊迫感がもの凄すぎて興奮しっぱなし!
特に逆さになった飛行機が教会をぶっ壊しながら突っ込んでいく映像のもの凄さたるや!

墜落寸前の危機を乗り越えて、乗客を救った奇跡のヒーローとしてハッピーエンド!
…で終わらないのが、現実で、この作品もそこから物語が始まっていく
この事故の原因を巡り、次第に事態は人間ドラマへと発展していく

航空パニックものという映像の力で攻めきった前半から一転、
主人公のクズっぷりが露呈されて行く後半は、
緊張感溢れる法廷サスペンスとアルコール依存症の男による人間ドラマへ展開して行く

そんなダメ人間でも最後の最後に全ての人間を裏切ることとなる
それはがけっぷちでやっと思い起こした彼の人間としての尊厳だった
本当は全て分かっていたけれども認めることの出来なかった彼の弱さ
その全てをそれを受け入れる事だった

そして、彼は「英雄」から「犯罪者」となった
刑務所の中で自らの人生を悔い改める事となる
自らの弱さを曝け出した事で彼は真っ当な人間へと歩を進めているように見えた

そこへ息子がやってきて一言、「Who Are You?」
その言葉に対して、「Good Question」と返答する彼
地味ながら非常に考えさせられる会話劇でこの作品は幕を閉じる

本当に彼は更正できたのか?本当はまた猫をかぶっているだけなのではないのか?
罪を認めれて神に贖罪をすればハッピーエンドで終わるほど、人間は単純じゃないはずだ
そこかしこにその辺りのメタファーなんかも散りばめられていて感慨深い

非情なまでに主人公を突き放したながらも、
航空パニック・法廷サスペンス・人間ドラマをバランスよく組み合わせている
アカデミー脚本賞はこっちでも良かったんじゃないかな?とも思いつつ、
全体的に今いち地味なルックスながら個人的には掘り出し物的に面白かった一本

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